不倫誓約書・念書の作成方法と注意点(例文8点・不倫誓約書テンプレートあり)


不貞慰謝料

執筆者 弁護士 古山 隼也 (こやま しゅんや)


  • 大阪弁護士会所属 登録番号 第47601号

略歴

清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士

講演・メディア出演・著書

朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」


大阪市職員、大阪・京都の法律事務所の勤務経験を活かし、法律サービスの提供を受ける側に立った分かりやすい言葉で説明、丁寧なサポートで、年間100件以上の問題解決をおこなっています。

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目次

1.不倫の誓約書・念書・示談書を作成する目的は?

 

不倫誓約書は不倫の証拠や不倫再発の防止に役立つことを解説しています。


配偶者の不倫・浮気が発覚した場合に、「今後、不倫をしない」「不倫慰謝料を支払う」ことを相手に約束させたいと思われるかもしれません。


また、不倫の確実な証拠を得るためにも、その内容を配偶者やその不倫相手と書面に書かせたい、と考えられるのではないでしょうか。

書面で「不倫誓約書」を相手と取り交わすことは、被害者である不倫された配偶者にとって大きなメリットがあります。

不倫の事実を認めさせるだけでなく、交際関係の解消や慰謝料の支払いの同意の証拠を書面にして確保しておくことで、その後のトラブルから身を守ることができます。

万が一、あとから誓約内容の存在自体を否定されたり、同意した条件に異議が出たときには、同意内容を立証できる有力な文書となります。

しかし、その作成内容によっては法的に無効となり、せっかく取り交わした意味がなくなってしまう可能性があります。

このコラムでは、不倫誓約書を法的に有効に作成する方法やその流れについて誓約書のテンプレートを示しながら解説します。

1-1.不倫慰謝料請求の証拠になる

 

不倫誓約書に記載する内容は、次の点が考えられます。

 

不倫誓約書の主な記載事項

  • 不倫の事実を認めること
  • 不倫をしたことの謝罪
  •  慰謝料の支払い条件(金額、支払い方法)
  •  不倫関係の清算すること
  •  再度不倫した場合の罰則(違約金、損害賠償の予定)の支払い

 

これらの内容を、口約束ではなく「書面」にしておくことで、のちに「言った、言わない」「約束内容の誤った認識・理解」によるトラブルを避けることができます。

なお、誓約書の書面タイトルは「不倫誓約書」でなくてもかまいません。
「念書」「示談書」などのタイトルでも、取り交わす書面の内容が適切なものであれば問題ありません。

不倫誓約書の取り交わしたにも関わらず、後日、不倫をした相手から「不倫はしていない」「慰謝料を支払わない」と反論されたとしても、書面で残していれば、裁判手続に発展したとしても「不倫の事実があったこと」「慰謝料の支払い」を認めていたことの確かな証拠となります。

1-2.不倫の再発防止

 

不倫誓約書作成の目的のひとつに「不倫の再発防止」があります。

不倫をした相手と書面を取り交わす際、「不倫関係の清算(二度と会わない、連絡をしない)」「再び不倫をした場合には金銭を支払う(損害賠償の予定)」などを含めておくことで、不倫を原因とするトラブルの再発抑止の効果を期待できます。

2.不倫の誓約書・念書・示談書の違い

 

先ほど、不倫誓約書は書面のタイトルが重要ではなく、その内容が大切であることをお伝えしました。
取り交わした当事者がその内容に拘束されるため、書面タイトルによる法的な効果に違いはありません。

まず不倫誓約書作成の目的とその内容をどうするか、まずは考えてみましょう。

不倫誓約書作成の目的

  • (A) ペナルティを課す
  • (B) 謝罪させたい
  • (C) 「(A)」「(B)」の両方

2-1.謝罪か慰謝料の支払いの約束かの違い(名目ではなく内容)


不倫をした配偶者、不倫相手に対して「不倫の事実を認め、慰謝料の支払い」をさせる場合や、不倫をしたことに対する謝罪をさせたい場合、その両方を求めたい場合など誓約書の内容はどうするかは自由です。

このコラムでは、慰謝料の支払い、謝罪の両方を求める場合について解説します

3.不倫誓約書の作成方法

 

不倫誓約書作成のポイントについて解説しています。


不倫誓約書の作成方法とその流れについて具体的に説明します。

3-1.話し合いのポイント


不倫誓約書を取り交わす相手は、①不倫をした配偶者、不倫相手の「一方」のみ、② 関係者全員で取り交わすことが考えられます。

不倫誓約書は取り交わした相手との間で、その内容に拘束されます。


なお、不倫をした当事者の一方とだけ慰謝料支払いの誓約書を取り交わしたとしても、他方の当事者に対する慰謝料請求をおこなうことは可能です。

ただし、誓約書にもとづき既に不倫をした一方から十分な慰謝料を受け取っている場合、もう一方の相手から慰謝料を受け取れない(または低い金額)可能性があります。

また、不倫をされた配偶者が、他方配偶者や不倫相手と誓約書を取り交わしたいと考えていても、相手が拒否することは当然考えられます。
こうした場合、① 内容証明郵便送付による慰謝料請求、② 不貞慰謝料請求の裁判を起こす、③ 弁護士に交渉などを依頼する、などの方法により不貞トラブルを解決していくことが考えられます。

では、次に不倫誓約書作成にあたり、記載すると良い項目について解説します。

3-1-1.不貞行為を事実確認


夫婦以外との性交渉といった直接的な「肉体関係」や「性的関係」を結ぶことを、法律上「不貞行為」と呼んでいます。
一般の方が使用する「不倫」と同じ意味です。

不倫誓約書は、契約書のひとつです。

法律上有効な契約書として作成したい場合には、不倫を「不貞行為」と言い換えて記載すると良いでしょう。

謝罪や慰謝料の支払いを求める場合、まずはその前提として不倫をした配偶者や不倫相手に「不貞行為の事実」を認めさせる必要があります。

具体的に「誰と(相手)」「いつ(時期・期間)」「どこで(場所)」「どの程度(頻度など)」不貞行為をはたらいたのか事実関係を誓約書に明記します。
そのうえで不貞行為を認めたことに対する反省として「謝罪する」形で項目を作成します。

なお、契約書などの書面では、当事者名を甲、乙、丙として記載することがあります。

 

参考例文① 書き始め
例)
〇〇〇〇(以下「甲」という。)と、〇〇〇〇(以下「乙」という。)及び〇〇〇〇(以下「丙」という。)は、以下のとおり合意し、和解が成立した。

また、当事者を特定するための情報として、不倫誓約書の末尾には住所、氏名の記載をおこなうことが一般的です。

不貞行為の事実確認について、具体的に次の項目例のように記載することがあります。

 

参考例文② 不貞行為の事実確認と謝罪
第〇条(謝罪)
乙は2023年3月から同年9月までの期間継続して、丙と複数回の不貞行為をおこなった事実を認め、甲に謝罪する。

不貞行為の事実を明確にし、当事者にそれを認めさせる記載は、不倫慰謝料請求や、不倫により離婚する際の有利な証拠・根拠となるため、最も重要な内容となります。

例えば、不倫による慰謝料が不払いになった場合、裁判手続きで請求を求めます。
慰謝料額は、不倫の程度(交際期間、性交渉の回数、不倫当事者間での妊娠など)も増減に影響します。

そのため、当事者の特定、どの程度の期間・行為があったのかなどを書面に残しておくのも良いでしょう。

3-1-2.不貞慰謝料の支払い(支払い条件、慰謝料の相場)

 

不貞行為は、「夫婦間における貞操義務違反」「平穏で円満な夫婦関係の破たん」させた、という不法行為に当たります。
法律に反する行為であるため、慰謝料請求をおこなうことが可能です。

不貞行為による慰謝料を請求したい場合には「不貞慰謝料」として、不貞行為により離婚する場合には「離婚慰謝料」として支払いを求めていくことになります。

不倫が原因で離婚する場合、話し合いや家庭裁判所の調停手続を利用して、慰謝料を含めた離婚条件を決めることになります。

不貞行為による慰謝料の相場は、「離婚する」場合は、100万円から300万円程度。
離婚しない場合は、数十万円から100万円程度と言われています。

不貞慰謝料の相場については、次のコラムでくわしく説明しています。

参照記事

  • 不倫・浮気の慰謝料相場と請求方法

    不貞慰謝料額が億単位など、現実的な金額ではない場合「公序良俗違反」として、不倫誓約書の内容が無効となる可能性があります。感情にまかせて行動に移すことは得策ではありません。適切な解決を進めていきましょう。

 

慰謝料の支払いを誓約書で定める場合、次の点に注意が必要です。

  • 現実的な慰謝料額
  • 支払い条件(支払い期限、分割か一括か、支払先口座、振込手数料の負担)
  • 不払い時の内容(違約金、損害賠償金など)


これらを踏まえて、「慰謝料の支払方法」について次のように記載することがあります。

 

参考例文③ 慰謝料の支払い方法(一括払い)
不貞慰謝料「一括払い」の場合
第〇条(慰謝料)
乙及び丙は甲に対し、慰謝料として金100万円の支払い義務があることを認める。

第〇条(支払い方法)
乙及び丙は、第〇条の慰謝料につき、〇年〇月〇日限り、甲の指定する下記口座に振り込んで支払う。
なお、振込手数料は乙及び丙の負担とする。

【振込先口座】
●●●●銀行●●支店
口座番号 ●●●●●●● 口座種別 普通預金
口座名義 ●●●●
参考例文④ 慰謝料の支払い方法(分割払い)
不貞慰謝料「分割払い」の場合

第〇条(慰謝料)
乙及び丙は甲に対し、慰謝料として金100万円の支払い義務があることを認める。

第〇条(支払い方法)
乙及び丙は、第〇条の慰謝料につき、甲が指定する口座に分割して支払う。なお、振込手数料は乙及び丙の負担とする。

●年●月~●年●月 毎月末日限り
各回 金●●万円

【振込先口座】
●●●●銀行●●支店
口座番号 ●●●●●●● 口座種別 普通預金
口座名義 ●●●●


なお、誓約書を不倫相手とも取り交わす場合は、不倫をした配偶者に対する求償権を放棄する内容についても記載しておきましょう。

不貞慰謝料は、「不倫をした配偶者」と「不倫相手」に請求が可能です。
例えば、200万円の不貞慰謝料を100万円ずつ配偶者と不倫相手に請求することができますし、不倫相手にのみ200万円を請求することもできます。

不貞慰謝料の支払いについては、不倫をした配偶者と不倫相手が連帯して支払い義務を負っています。
そのため、一方が自分の責任部分を超えて不貞慰謝料を支払った場合には、他方に対して、超えた部分を請求(求償)することが可能です。

つまり、不倫による離婚を考えておらず、不倫相手とだけ慰謝料の支払いを求める誓約書を取り交わす場合、不倫相手に200万円の支払ったのち、責任部分を超えた100万円部分について、不倫相手が不倫をした配偶者に対して求償してくることが考えられます。

こうしたリスクがあるため、不倫相手にのみ慰謝料を支払わせたい場合には、誓約書に求償権を放棄する内容を盛り込むようにします。

3-1-3.不倫関係の清算(関係解消)


不倫をした配偶者と婚姻関係を継続していく場合、きちんと「不倫関係の清算」をさせられるのか悩むところだと思います。

不倫関係の清算の内容としては「今回の不倫相手との関係清算」「今後、不倫をしない」という2点の約束を盛り込むと良いでしょう。

具体的には、次のような項目になります。

 

参考例文⑤ 不倫関係の清算
第〇条(清算)
乙は丙との不貞関係を解消し、本誓約書作成後において連絡や接触を一切しないことを約束する。

 

なお、職場不倫の場合、不倫した者同士が会社内で仕事上の接触を避けられない場合には「職務上必要な範囲を除き」など、文言を調整することになります。

また「メール、電話、SNSなどいかなる手段を問わず一切の連絡をとらない」など連絡方法の例示を含めて記載しても問題はありません。

3-1-4.再び不倫行為をおこなった場合の損害賠償の予定


先ほどの「不倫関係の清算」と合わせて定めておくと良いのが、約束を破った際の罰則の項目です。

一般的には「損害賠償の予定」として項目を設けることがあります。
これにより、将来的に再び不倫行為発生のトラブルを防止する効果が期待できます。

具体的には次のように定めることがあります。

 

参考例文⑥ 誓約書記載内容を破った際の賠償金の予定
第〇条(損害賠償)
乙及び丙は、本誓約書記載の事項に違反した場合、甲に対し違約金として金〇〇万円を支払う。


また、上記に加えて「今後不貞行為をしない」こと、「再び不貞行為をした場合に離婚協議に応じること」を定めることもできます。

 

ただ、「二度と不倫をしません」という同意については、確認の意味しかありません。
そもそも法律上、夫婦間には貞操義務があるためです。


「本誓約書締結以降、乙において不貞行為をおこなった時には、甲の申し出による離婚協議に応じる」などの形で記載します。

相手に離婚する意思を強制させることはできないため、話し合いに応じることを約束させます。

 

3-1-5.そのほか禁止行為など


誓約書の当事者において、次の禁止行為などを定めることがあります。

不倫誓約書で定める禁止事項
誓約内容の口外禁止

不倫相手からすれば職場不倫における勤務先、同居する家族に不倫をしたことが知れると様々な不利益が生じる可能性があります。
また、不倫をされた側からすれば周囲にその事実を知られることで、プライバシーが侵されるおそれがあります。
このように守秘義務について当事者間で取り交わすことが多くあります。

 

また、口外禁止と合わせて、当事者間の迷惑行為の禁止を約束する場合もあります。

相手の職場や自宅に押しかけるようなことがあった場合には「訪問の禁止」や、SNSなどでの誹謗中傷など、お互いの生活の平穏を侵害する行為を禁止することを定めておくことも考えられます。

 

参考文例⑦ 誓約内容の口外禁止
第〇条(口外禁止)
甲、乙及び丙は、本誓約書記載の内容について、第三者に一切口外しないことを約束する。

 

清算条項

清算条項とは「不倫関係を清算する」ということではありません。
誓約書で決めたこと以外に権利義務が無いことを当事者が確認する条項のことです。
不倫をした側からすれば、誓約書記載以外の請求を追加的に求められることを防ぐことができます。

 

参考例文⑧ 誓約書で決めたこと以外に権利義務がないことの確認
第〇条(清算条項)
甲、乙及び丙は、本誓約書に定めるほか、なんら権利義務が存しないことを相互に確認する。


上記以外にも、直接不倫・浮気とは関係のない項目も取り交わすことができます。

具体的には、不倫をした配偶者に対して「ギャンブルを禁止する」「性風俗店や性的サービスの利用禁止」「家庭内における暴力を禁止する」などを求めることも可能です。

3-1-6.ダブル不倫の場合の不倫誓約書作成


不倫相手が既婚者の場合、不倫相手の配偶者を含めて誓約書を取り交わすことも考えられます。

 

ダブル不倫で慰謝料請求が難しい事例について解説しています。


お互いの配偶者(上図AとD)は、不倫相手に対して慰謝料請求が可能です。


しかし、不倫をされた配偶者双方が離婚せず婚姻関係を継続し、双方が相手に慰謝料請求をおこなう場合、その慰謝料額が同程度であれば請求行為にあまり意味がありません

そのため、関係者全員を含めて「不倫関係の清算」、「お互いに慰謝料請求をしない」ことを確認する誓約書を取り交わすことを検討することがあります。

なお、既婚者によるダブル不倫の問題点については、次のコラム記事でくわしく解説しています。

 

3-2.不倫誓約書の記載と書式サンプル

 

以上を踏まえて、不貞行為についての誓約書サンプルを掲載します。

参照 不倫誓約書テンプレート[コピー可]

誓約書

 

〇〇〇〇(以下「甲」という。)と、〇〇〇〇(以下「乙」という。)及び〇〇〇〇(以下「丙」という。)は、以下のとおり合意し、和解が成立した。

 

第1条(謝罪)

乙は20233月から同年9月までの期間継続して、丙と複数回の不貞行為をおこなった事実を認め、甲に謝罪する。

 

第2条(慰謝料)

乙及び丙は甲に対し、慰謝料として金100万円の支払い義務があることを認める。

 

第3条(支払い方法)

乙及び丙は、第〇条の慰謝料につき、〇年〇月〇日限り、甲の指定する下記口座に振り込んで支払う。

なお、振込手数料は乙及び丙の負担とする。


【振込先口座】

  • ●●●銀行●●支店

口座番号 ●●●●●●● 口座種別 普通預金

口座名義 ●●●●

 

第4条(清算)

乙は丙との不貞関係を解消し、本誓約書作成後においていかなる理由があろうと連絡や接触を一切しないことを約束する。

 

第5条(損害賠償)

乙及び丙は、本誓約書記載の事項に違反した場合、甲に対し違約金として金〇〇万円を支払う。

 

第6条(口外禁止)

甲、乙及び丙は、本誓約書記載の内容及び本件不貞行為について、第三者に一切口外しないことを約束する。

 

第7条(清算条項)

甲、乙及び丙は、本誓約書の定めの他、なんら権利義務が存しないことを確認する。

 

以上の合意内容を証するため、本書3通を作成し、甲乙丙が署名の捺印の上、各自1通を保有する。

 

〇〇〇〇年〇月〇日

 

甲 住所

  氏名        印

 

乙 住所

  氏名        印

 

丙 住所

  氏名        印


(本サンプルはあくまで参考です。本サンプルを利用することで生じた損害を保証するものではありません。)

3-2-1.誓約書として無効になる場合(実現性、適法性、社会一般秩序的にどうか)


誓約書は契約です。
契約として有効に成立するには、「その内容が実現可能」「違法ではないこと」「公序良俗に反しないこと(社会的秩序や道徳的に問題が無いか)」が守られていることが必要です。

例えば、感情的になって異常に高額な慰謝料の支払いを求めることは現実的ではありません(「20億円を払え」など)。

「再び不倫した場合には死をもって償う」をというのも違法であり、公序良俗に反するため法律上無効となります。(民法90条)。

また、「今後異性との接触を禁じ、GPSを常時携帯すること」「仕事以外の外出を禁じる」などのように過度で不適切な負担を要求することも控えた方がよいでしょう。
なお、「再度不倫した場合には離婚する」という合意は、法的な効力はありません。
離婚は、①双方の離婚意思の合致と②離婚届出の提出により成立します。
しかし、将来の相手の離婚の意思を拘束させることはできないからです。

感情的になると、冷静さを欠いてしまい行き過ぎた内容になってしまうことがあるため慎重な行動と注意が必要です。

脅迫、誹謗中傷をともなう迷惑行為は、刑法上の犯罪にあたるものとして、不倫の被害者であるあなた自身が罰せられるリスクがあります。

3-2-2.誓約書作成のポイント


誓約書の内容が確定したら、当事者の人数に対応する部数を作成し用意します。

誓約書は、手書きでもパソコンで作成し印刷したものでもかまいません。
内容をすり合わせることも考えられますので、パソコンで作成した方が簡単に修正できるため便利かもしれません。

署名欄は自筆、押印をおこなうことが多いです。

なお、不倫相手に実印で押印させ、市区町村役場で交付を受けられる印鑑登録証明書を提出させて、誓約書に添付することも問題はありません。
これは、不倫相手が誓約書の内容に合意したことを証明するために、本人にしか取得できない印鑑登録証明書を添付させるものです。
実印のほうが後になって争われにくいので、慎重にしたい方にはそのような方法をお勧めします。

3-3.公正証書で作成


不倫誓約書を公証役場にて、公正証書で作成することも可能です。

公証役場には、公証人と呼ばれる元裁判官、元検察官など法律のプロがいます。
法的に誤りのない書面の作成が期待できます。

ただし、不倫相手との話し合いの仲介などは公証人に依頼できません。
あくまで当事者で決めた内容を公正証書にするものです。
そのため、交渉や誓約内容の取り決めに負担を感じている場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。

なお、金銭の支払いに関する取り決めを記載した公正証書は、裁判による判決などの獲得を必要とせず、将来的に金銭の不払いがあった時には、すぐに給料の差押えなどの強制執行手続をおこなうことができます。
判決などと同じ法的効力が認められており、金銭の回収が容易になるというメリットがあります。

具体的には、公正証書に強制執行認諾の文言を含めることで、こうした強制執行可能となります。


4.不倫をした配偶者・相手方が応じない場合


不倫された配偶者が不倫誓約書の取り交わしを望んでいる場合でも、相手はそれに応じる義務はありません。
そのため、話し合いによる不倫・浮気問題の解決が困難なケースも多く存在します。

相手が話し合いに応じない場合の対処法について解説します。

4-1.裁判手続き


例えば、不倫誓約書で不貞行為にもとづく慰謝料請求の支払いを約束したにも関わらず、期限までに支払いをしない場合、まず話し合いにより任意での支払いを求めていきます。

また、「再び不貞行為をした際には賠償金(違約金)を支払う」旨の誓約書を取り交わしたものの、その約束を破った場合にも、話し合いによる支払いを求めます。

しかしながら、相手が請求に応じない場合は最終的に「不貞行為による慰謝料請求」、または離婚を決意した場合には不貞をした配偶者に対して「離婚調停」を申立て、調停不成立の場合には「離婚裁判」を訴訟提起して離婚手続きの中で離婚慰謝料として支払いを求めます。


参照 誓約書違反があった場合の対応方法
手続き名 管轄 手続き内容
損害賠償請求 地方裁判所

不貞行為にもとづく損害賠償請求の手続き。

離婚調停 家庭裁判所

夫婦間の貞操義務違反は法律で定める離婚原因の一つになります。

不貞行為を働いたことを原因として、裁判所を利用し離婚する場合には、まず家庭裁判所の調停手続きをおこなうことになっています(調停前置主義)。


なお、不貞慰謝料請求に関する裁判手続きは、次のコラムでくわしく解説しています。

4-2.弁護士による交渉代行を依頼


相手が慰謝料支払いの話し合いに応じないからといって、必ず裁判を起こす必要があるわけではありません。
例えば、弁護士に不貞行為の示談交渉を依頼するのも一つの方法です。

弁護士に依頼することで、精神的に負担の大きい相手との直接交渉をする必要がなくなります。
また、弁護士は裁判手続きに長けた法律のプロであり、裁判手続きの可能性を示しながら交渉をおこなうことで本気度を見せることができ、相手に大きなプレッシャーを与えることができます。

法的に有効な合意書面の作成も任せることができるため、ひとりで問題を抱えることなく、日々を安心して過ごすことができるでしょう。

弁護士費用がかかるというデメリットはありますが、精神的・手続的な負担が大きいと感じている場合には、弁護士に依頼することを検討してはいかがでしょうか。

まずは弁護士との法律相談から始めてみることをおすすめします。
あなたの沈んだ気持ちを軽くすることができるかもしれません。

5.不倫により離婚する場合

配偶者の不倫・浮気により離婚を決意した場合、離婚手続の中で、不貞行為により離婚するにいたったことへの精神的苦痛として「離婚慰謝料」の形で、金銭的な支払いを求めていくことになります。

参照 「不貞慰謝料」と「離婚慰謝料」の違い
不貞慰謝料 離婚慰謝料
請求できる相手
  • 不倫をした配偶者
  • 不倫相手
  • 不倫をした配偶者
請求期限
(消滅時効)
  • 不倫を知った時から3年
  • 不倫関係が終った時(最後の性行為等)から20年
  • 離婚から3年
請求の内容
  • 不倫(不貞行為)による精神的苦痛に対する慰謝料
  • 不倫(不貞行為)、DV、モラルハラスメント、悪意の遺棄など離婚原因を作った配偶者が支払う慰謝料

5-1.離婚協議書の作成


不倫が原因で、話し合いにより離婚する場合は離婚協議書を作成することが一般的です。

離婚協議書を作成する場合には、次の内容につき不倫をした配偶者と話をおこないます。

5-1-1.不倫により離婚する場合の取り決め


不倫による離婚でも、通常一般的な離婚で取り決めをする内容に違いはありません。

離婚条件の一例

子供に関すること

  • 親権 (未成熟子がいる場合)
  • 養育費 (未成熟子が20歳に達するまでの教育、生活などの費用)
  • 面会交流 (未成熟子がいる場合)

お金に関すること
  • 財産分与 (婚姻期間中に築いた共有財産の分配)
  • 離婚慰謝料 (離婚原因をつくった配偶者に対する慰謝料請求、損害賠償請求)
  • 婚姻費用 (離婚前の別居期間における生活費の請求)
  • 年金分割

なお、不倫した配偶者であっても、子どもの親権者になることはできますし、養育費の支払や面会交流を求めることもできます。

また、不倫をしたからといって財産分与を受けられなくなるわけではありません。

他方、不倫された配偶者からすれば、不倫をした配偶者がこうした権利を要求してきた時に、心理的に要求を拒否したいと考えることがあると思います。

しかしながら、面会交流や養育費は子どもにとっての権利であり、養育費の支払義務を放棄することや、面会交流の機会を奪うことは難しいと言えます。

不倫をした配偶者が親権、財産分与などを請求してきた場合の問題点については、次のコラム記事でくわしく解説しています。

参照記事

参照記事

6.まとめ

 


基本的に、契約は口頭の約束でも成立します。

しかし、不倫相手と不倫の再発防止や慰謝料支払いを口約束しただけでは、将来トラブルが再発してしまった場合、せっかくおこなった話し合いが振り出しに戻ってしまいます。

そのため不倫誓約書を作成しようと考えた際に、不倫誓約書の記載内容は個別の事情や状況に応じて「慰謝料額」や「誓約事項」が異なってくるため、いくら請求するのが良いのか、書き方をどのようにするべきなのか、判断に悩まれることもあるでしょう。

また、「不倫・浮気相手の連絡先が分からない」、「慰謝料請求するための証拠書類が集まらない」など、誓約書取り交わし以前の問題を抱えていることもあると思います。

このように被害者であるにも関わらず、不倫された配偶者の負担はかなり大きいと言えます。

他方、不倫をした配偶者、不倫相手の方は「著しく不利な内容」で誓約をさせられていないか注意する必要があります。

高額すぎる慰謝料額や無理難題で一方的かつ過大な要求に対して納得がいかない場合、きちんと反省を示しながらも反論や主張をおこなうことが大切です。
慰謝料が相場に照らして高額であれば減額を、一括支払いが難しいのであれば分割を求めることになります。

古山綜合法律事務所では、不倫・浮気をされた側、不倫・浮気をした側のいずれも不倫問題解決のための専門サポートをおこなっています。

不倫慰謝料請求、不倫を原因とした離婚請求手続などの代行をおこなっています。
ひとりで不倫問題に対処することが難しい場合、法律の専門家に助けを借りることを検討されてみてはいかがでしょうか。

当事務所では、現在、初回無料相談を実施中です。

ご状況や問題点を整理し、ご希望を踏まえた具体的な解決策のご提案、個別質問への回答など、悩みを解消し不安な気持ちを少しでも軽くできるようアドバイスさせていただきます。
なお、不倫問題だけでなく、男女トラブル、離婚問題の相談も無料です。

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無料相談のご案内「弁護士相談のメリット」

当事務所の強み・ご依頼いただくメリット

お気持ちに寄り添うこと、共感することを心がけてサポートいたします。

トラブル問題に強い

精神的負担を軽減します

弁護士だからこそアドバイス、サポートできる問題があります。一般の方において接することの少ない「感情の対立のあるトラブル」は、気持ちが疲れてしまうものです。普段からトラブル解決をおこなう弁護士に依頼することで日常に安心を取り戻すことができます。

身近で気軽に相談できる

オンライン・電話相談に対応

非対面による法律相談にも対応。もちろん、オンライン手続の進む裁判手続にも対応。早期の解決、適切な解決を目指して、代理活動を止めることなく、あなたとともに最後まで寄り添い、いつもの日常、新しいスタートをきることができるように努めます。

交渉から手続までサポート

手続負担を軽減します

弁護士は裁判業務だけではありません。あなたの代わりに希望や主張をおこなう代理交渉や、相続における口座解約などの遺産整理手続まで、身近なサポートもおこなっています。

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弁護士監修

法律情報・実務コラム

弁護士が身近な法律問題から法律の改正情報まで、丁寧に分かりやすく図表を交えながら解説しています。

離婚

離婚時の財産分与の進め方とトラブル予防のための注意点

離婚時の財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた共有財産を分配することを言います。
対象財産には現金、預貯金、不動産、年金、退職金などが含まれます。

財産分与をどのように進めるのか、後日トラブルとならないように注意しておくポイントなどについて弁護士が解説します。

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離婚

離婚による子供の養育費の相場(#離婚養育費)

離婚で未成熟子がいる場合、養育費の支払いの義務を放棄することはできません。子どもと一緒に暮らす親から他方の親に対して養育費を請求する場合の支払い条件の決め方や、養育費未払いの際の対応方法などについて弁護士が解説します。

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離婚

離婚における「別居」のメリット・デメリット。別居中の生活…

離婚前の別居することのメリット・デメリットや、別居時に問題となる子供の連れ去り、別居期間中の面会交流や養育費の支払い、別居前にやっておくべき離婚準備などについて弁護士が詳しく解説しています。

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枚方市を中心に法律問題の解決をサポート

当事務所では、交通事故、離婚、不貞慰謝料請求、相続トラブル、生前対策、借金問題、刑事事件、労働問題など幅広い業務を取り扱い、枚方市・交野市・寝屋川市・高槻市・八幡市・京田辺市にお住いの個人の方や中小企業経営者の方を中心に数多くの解決サポートをおこなっています。