交通事故の遷延性意識障害で知っておきたいこと
交通事故の被害にあわれたご本人様とご家族様、心よりお見舞い申し上げます。
突然、ご本人様と会話することはもちろん意思疎通すらできなくなり、ご家族様として大変ご心痛されていると存じます。24時間の常時介護が必要となる状態となって、ご家族の今後の生活環境がガラリと変わってしまうため、大きな不安が襲っていることと思います。
現代の医療では確かな治療方法があるわけでなく、ご本人様の自己治癒能力による回復を期待することになります。当事務所はご家族の悲しみやご負担を少しでも軽くできるよう、サポートをおこなっています。
弁護士にも相談にかかる
交通事故によって遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)となった場合、今後、ご家族にかかる負担は経済的、身体的、精神的にかなりのものになる可能性があります。
常時介護が必要なため、医療機関に入所すると医療費が高額となり、自宅で介護すると自宅の改造や介護用品の用意をしなければならない上に介護自体の負担が重く、ヘルパーなどを雇うと経済的な負担ものしかかってきます。
そのため、加害者の保険会社から適正な賠償金をしっかり受け取ることで、今後の経済的負担に耐えるための基盤をつくるのが大変重要です。
事故直後など早期の段階にご相談いただくことで、将来を見すえて、どのように治療や賠償金請求を進めていくのが良いのかなどをアドバイスさせていただくことができます。
また、ご依頼いただくことで加害者の保険会社からの連絡も、当事務所が全てご対応できます。これにより治療に専念でき、これからの生活を見すえた準備や、日々の生活の落ち着きを取り戻していただくための環境を整えていただけます。
弁護士が獲得サポートできる賠償金
事故直後から症状固定時までの損害(治療費/付添看護費/入院雑費など)、後遺障害の等級認定以降の損害(将来の付添看護費/将来働くことで得られたはずの利益/被害者の近親者の慰謝料/介助・介護に必要な費用/将来の治療費)、自宅の改造費、先進医療費、そのほか
弁護士費用特約が利用できる
遷延性意識障害による慰謝料の相場はかなり高額なものとなっています。そのため、弁護士費用の支払いを心配されるかもしれません。
ですが、交通事故を重点的に取り扱っている法律事務所は、弁護士費用のお支払いは加害者の保険会社から賠償金を受け取ったあとになっていることが多く、当事務所も弁護士費用を「完全後払い」としていますので、ご依頼時にお支払いいただく必要はありません。
また、保険会社が弁護士費用を最高300万円までカバーしてくれる「弁護士費用特約」が、ご加入している自動車保険などに付帯されていることもあります。
今一度ご自身またはご家族の契約されている保険契約に、弁護士費用特約が付いているかご確認いただくことをお勧めいたします。
当事務所でも、多くのご依頼者様が、弁護士費用特約をご利用されています。
ぜひ、安心してご相談におこしください。
弁護士費用特約の概要 | ||
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補償範囲 | 法律相談 |
最大10万円程度まで
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弁護士費用 |
最大300万円程度まで
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補償対象者 |
自動車保険などに付帯しています。契約者本人だけではなく、次のご家族や同乗者も利用可能です。
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治療環境を整える
加害者の保険会社からの連絡への対応や後遺障害の等級認定手続などは、ご家族様でも対応できないというわけではありません。
ですが、保険会社の担当者から心無い発言を受けて苦しんだり、これまで経験のない後遺障害の等級認定手続きで戸惑ったりするなどによって、精神的にも時間的にも大きな負担となってしまうケースは珍しくありません。
遷延性意識障害は、意思の疎通がとれない状態でも、ひとまず治療を継続し、半年から1年程度様子をみたうえで、医師から「症状固定(治療を続けてもこれ以上改善する見込みがない状態)」と診断を受けることが多いです。
当事務所に依頼することで、① 精神的負担の軽減(加害者の保険会社からの連絡に一括して対応)、② 事務手続の負担軽減(後遺障害等級認定手続や裁判手続などに一括して対応)が可能です。
思いがけない事故で大事なご家族と意思疎通できなくなってしまった現実と向き合い、受け入れられるようになるには相当の時間がかかるのは当然です。 ご家族様に対応できることは、時間的にも精神的にも体力的にも限られています。これから何を優先すべきか、弁護士と一緒に考えてみませんか。
遷延性意識障害の診断
医学的にいうと、遷延性意識障害とは、「頭部の外傷により、昏睡状態となり意思疎通のできない身体の状態」のことを指します。いわゆる「植物状態」と同じですが、脳幹機能がほぼ正常に保たれて自発呼吸があるなどから、脳死状態とは異なります。 診断基準としては、次のとおりです。
遷延性意識障害の診断基準
各種治療にもかかわらず、3か月以上にわたり次の6項目を満たす状態にあるもの
- 自力移動不能(ご自身で移動できない)
- 自力摂食不能(ご自身で食事をとることができない)
- 糞便失禁状態(糞・尿失禁がある)
- 意味のある発語不能 (たとえ声を出せても意味がある言葉は話せない)
- 簡単な従命以上の意思疎通不能(簡単な命令には応じるが、それ以上の意思疎通ができない)
- 追視あるいは認識不能(眼球は物を追っていても、認識ができない)
医師により遷延性意識障害と診断されたのち、後遺障害等級認定を受けるための手続をおこないます。 後遺障害の等級認定は、加害者の保険会社と「後遺障害慰謝料」「後遺障害逸失利益」などについて交渉する前提して必要です。
遷延性意識障害の慰謝料の相場
遷延性意識障害の後遺障害等級として認定されるものは次のとおりです。
また、慰謝料の相場には3つの基準があります。
- 自賠責基準(強制加入の自賠責保険による最低基準)
- 任意保険基準(①とほぼ変わらない各保険会社の基準)
- 裁判基準(交通事故裁判の中で確立された基準で後遺障害慰謝料は①の約2倍)
被害者にとって一番有利な「裁判基準」は、弁護士であれば示談交渉の段階で使えることが多いです。裁判基準は「弁護士基準」とも呼ばれます。
保険会社は営利企業であるため、慰謝料の支払いをできる限り抑えようとします
。
そのため、加害者の保険会社は低額である自賠責基準や保険基準に基づいて慰謝料を算定して被害者に提示します。
そのため、ご本人様やご家族様のこれからの生活のためには、遷延性意識障害の「後遺障害慰謝料」「後遺障害逸失利益」を、「裁判基準」に基づいて請求しなければならないのです。
等 級 | 症 状 | 自賠責基準 | 裁判基準 |
---|---|---|---|
1級1号 |
| 1,600万円 | 2,800万円 |
2級1号 |
| 1,163万円 | 2,370万円 |
遷延性意識障害で1級1号の等級が認定されると、自賠責保険から1600万円(上限4000万円)の保険金が支払われます。ですが、通常、自賠責保険のみでは裁判基準に基づいた損害額をカバーできないため、カバーできなかった部分を任意保険会社に請求することになります。
裁判基準では慰謝料が2800万円となっており、自賠責保険のような「上限はありません」。
任意保険会社は支払いを抑えるために争ってくることも多いので、ご家族様は適正な賠償金を獲得するため弁護士に依頼するのです。
遷延性意識障害で、請求できる内容
遷延性意識障害では、交通事故後から「症状固定」までに発生する治療費などのほか、症状固定後の介護費(将来の介護費)や自宅のリフォーム費用(家屋改造費)、介護用品など消耗品の費用なども請求できます。
なお、重度の後遺障害の場合、加害者の保険会社は激しく争うことが多く、解決には時間がかかります。
請求手続きに進め方によっては、示談交渉や裁判が終わるまでまとまったお金が入らなくなるため、経済的な負担・不安が大きくなります。
そこで、示談交渉などに入る前に自賠責の保険金(最大4000万円)を受け取ることもできるため、まずは自賠責の保険金を使って当面の介護費などをまかなうのがよいでしょう。
介護に関する請求項目 | |
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将来の介護費 | これからの人生において介護が必要となった場合に認められる。 |
将来の付添看護費 | 完全看護体制による入院の場合でも、家族の補助が必要になることもあるため近親者の看護費用も損害として認められています。 |
将来雑費 | 紙おむつ、防水シート、カテーテルなど介護のための物品購入にかかる費用。 |
装具などの購入費 | 介護ベッドなど日常生活で必要となる器具購入にかかる費用。 |
家屋改造費等 | 玄関・トイレ・浴室などの改造費用、乗用車改造費や介護用車両購入費など。 |
上記以外にも、将来働くことで得られたはずの利益(逸失利益)や、近親者の慰謝料、将来の治療費など個別の状況に応じた損害を丁寧に算定して、加害者の保険会社に請求します。
後見制度の申立
ご本人様が未成年であれば親権者が代理人として賠償金の請求ができます。
しかし、ご本人様が成人されているときは、親権者はおらず、ご家族様にも代理権がありません。そのため、賠償金を請求するためには、家庭裁判所に「後見開始の審判」を申立て、財産管理などをおこなう後見人を選ぶよう手続をおこなう必要があります。誰が後見人になるかは裁判所が判断し、親族や弁護士・司法書士などが選ばれます。
後見人は、① 後遺障害等級認定申立、② 加害者への慰謝料請求、③ 日常生活における必要な契約や財産管理などをおこなっていくことになります。
遷延性意識障害の慰謝料請求サポート
遷延性意識障害の場合、常にご本人様の介護が必要であることが多く、弁護士に相談するために法律事務所に行くだけの時間的余裕がないことも多いでしょう。
そこで、当事務所ではご来所が難しいご家族様のために、オンラインによる相談や出張相談を実施しています。
まずは現状や将来に対する不安・疑問を解消するために、ご本人様とご家族様の今後の生活について弁護士と一緒に考えてみませんか。
事故直後、入通院中など、示談前であればいつでもご相談できます。
ぜひお気軽に当事務所までお問い合わせください。