自己破産の費用が払えない場合はどうする?対処法と注意点を徹底解説


借金問題

執筆者 弁護士 古山 隼也 (こやま しゅんや)


  • 大阪弁護士会所属 登録番号 第47601号

略歴

清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士

講演・メディア出演・著書

朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」


大阪市職員、大阪・京都の法律事務所の勤務経験を活かし、法律サービスの提供を受ける側に立った分かりやすい言葉で説明、丁寧なサポートで、年間100件以上の問題解決をおこなっています。

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自己破産の費用が払えない場合はどうする?対処法と注意点を徹底解説


「借金をなくすための費用すら用意できない」と悩む必要はありません。
費用が手元になくても、自己破産の手続きを進める方法はあります。


本記事では、自己破産に必要な費用、手元にお金がない場合の具体的な対処法(法テラスの利用や分割払い)、さらに費用を払えないまま放置してしまった場合のリスクまでを、法律の専門的な視点を交えて徹底解説します。

1. まず押さえておきたい自己破産の費用の基礎知識


自己破産を申し立てるためには、裁判所へ納める費用や専門家へ依頼する際の報酬などが必要です。

自己破産の費用には、大きく分けて「実費(裁判所に納める費用)」と「弁護士・司法書士などの専門家へ支払う報酬」の2種類があります。

裁判所へ申立てを行う際の収入印紙代や官報公告費用、郵便切手代などは「実費」にあたり、これは原則として現金で納める必要があります。
一方、専門家への報酬は依頼先によって金額や支払い方法が異なります。

個人の方の自己破産の費用総額は、一般的に約30万円〜50万円程度です。
費用の多くの割合を占める弁護士費用は25万円~です。

高額に感じるかもしれませんが、これらを一度に支払う必要はありません。
法律事務所によっては分割払いや、日本司法支援センター(法テラス)の立替制度が利用可能です。

1-1. 自己破産にかかる費用の種類と内訳


自己破産の費用構造を理解するために、以下の表で内訳を整理します。
大きく分けて3つの要素があります。

費用の種類 内容 支払い先 備考
申立手数料・予納金 収入印紙代、官報公告費、予納郵便切手代など 裁判所 手続き開始に必須の実費
管財予納金 破産管財人の報酬に充てられる費用(管財事件の場合のみ) 裁判所 最低20万円〜(裁判所による)
弁護士・司法書士報酬 着手金、報酬金、事務手数料など 法律事務所 分割払いや法テラス利用が可能な場合あり


これらの費用は地域の裁判所(東京地裁と大阪地裁で運用が異なるなど)や依頼する事務所ごとに異なります。

1-2. 同時廃止事件・管財事件・少額管財事件の違い


自己破産の手続きは、申立人の資力(財産)や借金の理由によって、以下の3種類に振り分けられます。
どの手続きになるかで、費用(特に裁判所に納める予納金)が大きく変わります。

同時廃止事件
申立人にめぼしい財産がなく、免責不許可事由(ギャンブルなど)もない場合。
破産管財人の選任が不要なため、費用が最も安く抑えられます。
管財事件(通常管財)
一定以上の財産がある、または借金の理由に問題があり調査が必要な場合。
裁判所が選任する「破産管財人」の報酬として、最低50万円以上の予納金が必要になるケースがあり、高額です。
少額管財事件
弁護士が代理人となって申立てを行う場合に利用可能。
予納金が最低20万円程度と低く設定されています。


どの手続きが適用されるかは裁判所の判断です。


ただ、事前に弁護士へ相談することで、自分のケースがどれに該当しそうか、アドバイスを受けることができます。
これにより計画的に費用の準備ができます。

1-3. 弁護士費用と司法書士費用の相場


専門家に依頼する場合の相場は以下の通りです。

弁護士費用
相場:30万円〜(管財事件の場合:50万円程度~)
特徴:代理人として全ての手続き(裁判所での面接同席など)を行えます。
手続きを依頼する際にかかる着手金のみで対応しているところが殆どです。
司法書士費用
相場:20万円〜30万円程度
特徴:書類作成代理が主な業務です。
弁護士より安価な傾向がありますが、自己破産手続きにおいては「代理人」になれないため、裁判所での面接(審尋)には本人が一人で行く必要があります。
また、管財事件になった場合、対応範囲が制限される点に注意が必要です。

自分の状況に合った専門家を選ぶために、まずは「無料法律相談」を利用してください。費用や支払いプラン(分割の可否など)を必ず確認し、無理のない計画を立てましょう。

1-4. 裁判所へ納める予納金や官報公告費用について

 

自己破産の申立てを行う場合、裁判所へ納める予納金や官報公告費などの支出が発生します。

これらは原則として一括払い(現金)が求められます。

同時廃止事件の場合
1万〜2万円程度(収入印紙1,500円、官報公告費1万数千円、切手代)
管財事件(少額管財含む)の場合
上記の費用に加え、管財予納金(20万円〜)


官報公告費は破産手続き開始決定などを国の機関紙「官報」に掲載するための費用です。


重要なのは、「裁判所関連の費用(特に管財予納金)」は原則として法テラスの立替対象外です(生活保護受給者を除く)。
ただし、少額管財事件の予納金(20万円)については、裁判所によっては数回の分割納付を認めてくれるケースもあります

支払いタイミングをしっかり把握し、専門家と相談して準備する必要があります。

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2. 費用が払えないときに考えたい対処法


費用が払えなくても手続きを諦める必要はありません。
費用負担を軽減する具体的な対処法は主に4つあります。
ご自身の状況に合わせて、以下の選択肢を検討してください。

2-1. 法テラスの民事法律扶助制度を利用する


費用支払いが困難な場合、最も有力な選択肢となるのが「日本司法支援センター(法テラス)」の民事法律扶助制度です。

 

制度の内容
  • 弁護士や司法書士の費用の立替を行ってくれます(無料になるわけではありません)。
  • 専門家への報酬も、法テラス基準の低い金額(例:同時廃止なら15万円〜など)に設定されます。
  • 立て替えてもらった費用は、手続き終了後、月々5,000円〜10,000円程度の分割払いで返済します。
  • この分割払いには利息がかかりません。
利用条件(資力基準)
  • 手取り月収や保有資産が一定額以下であること。(例:単身者で手取り月収18万2,000円以下、資産180万円以下など ※居住地により異なる)
  • 法テラスと契約している弁護士である必要があります。


この制度を利用するには審査が必要ですが、経済的に苦しい方にとっては非常に強力な支援となります。

まずは「法テラス利用可能」な法律事務所に相談してみましょう。

関連記事
民事扶助制度(立替制度)は、収入要件、資産要件(現金・預貯金・不動産・有価証券など)があります。利用方法などについて紹介しています。

2-2. 親族や知人から支援を受ける方法


手元資金が限られている場合、親や兄弟など信頼できる身近な人に相談し、費用の一部を支援(返済の必要のない援助)してもらう、という手もあります。

自己破産は周囲に知られたくないと考える人も多いですが、取り立てや差押えなどで職場や家族にバレて状況が悪化する前に、正直に相談して協力を仰ぐことが、結果的に早期解決に繋がることがあります。

【注意点】

 

親族から「支援」ではなく「借り入れ」として受け取った場合、自己破産手続きの際に提出する債権者一覧表への記載が必要です。

ただ、返済不能の状態であるにもかかわらず、借り入れをおこなうこと自体が、裁判所から問題視される可能性があります。

また、支払い不能の状態のときに、特定の債権者(親族など)にだけ返済をする行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として、免責不許可事由(破産法第252条)に当たります。

のちのち親族とトラブルにならないように、専門家のアドバイスを受けてから動くことが重要です。

2-3. 分割払い・後払いに対応する専門家へ依頼する

 

多くの弁護士・司法書士事務所では、依頼者の経済状況を理解しており、費用の分割払い(積立)や後払いに対応しています。

積立の仕組み
  • 弁護士に依頼すると、債権者への返済をストップできます(受任通知の送付)。
  • これまで返済に充てていたお金を、毎月数万円ずつ弁護士費用として積み立てていきます。
  • 必要な金額(着手金や予納金)が貯まった段階で、裁判所に申立てを行います。


これにより、手持ちのお金がゼロでも、依頼をスタートできる可能性があります。


特に督促の電話や手紙が増えている状況では、早期に依頼して取り立てを止めることが精神的安定にも繋がります。

支払い方法は事務所ごとに異なるため、気軽に問い合わせて比較検討することをおすすめします。

2-4. 生活保護を受給中の場合の自己破産費用


現在、生活保護を受給している方や収入が一定額以下の方は、法テラスの利用が可能です。

1.法テラスの費用が免除される可能性
生活保護受給者は、法テラスの民事法律扶助を利用する場合、立替金の償還(返済)が免除されるケースがほとんどです(民事法律扶助法第35条の特例など)。つまり、実質0円で弁護士に依頼できる可能性があります。
2.予納金の立て替え
管財事件(少額管財)になった場合でも、法テラスが予納金(最大20万円)まで立て替えてくれる制度を利用できる場合があります。

生活保護費から借金を返済することは原則として認められていません(不正受給とみなされるリスクがあります)。

そのため、生活保護受給中の方こそ、自己破産によって借金を整理し、生活再建を図る必要があります。

まずは法テラスや自治体のケースワーカーに相談してみることが重要です。

なお、法テラスの利用を検討されている方は、① まず法テラスに扶助制度(立替制度)の利用が可能かを確認し、②法テラスと契約している希望の弁護士に相談をする、という流れになります。

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3.無職でも自己破産は可能?申立て時のポイント


結論から言えば、無職でも自己破産は可能です。

むしろ、支払い能力がないことは破産手続き開始の要件(支払不能状態)のひとつです。

前述の「法テラス(償還免除の可能性含む)」や「親族の援助」を活用すれば、手続きを進めることは可能です。

3-1. 収入証明が必要となるケース

 

自己破産の申立て時には、家計全体の収支状況を裁判所に報告する必要があります。

無職の方は「収入がないこと」を証明する書類の提示が必要です。

具体的には以下のような書類の提出を求められることがあります。

  • ✓ 非課税証明書(市役所で取得)
  • ✓ 離職票や退職証明書(直近まで働いていた場合)
  • ✓ 預金通帳(入金がないことの証明)
  • ✓ 雇用保険受給資格者証(失業保険を受給中の場合)


提出すべき期間や書類の種類は各裁判所や個別の案件によって異なるので、裁判所の指示に従って適切な資料を用意しましょう。

3-2. 免責不許可事由への対処法


「無職で借金を増やしてしまった」「生活費のためにギャンブルをしてしまった」といった事情がある場合、免責不許可事由(破産法第252条1項)に該当し、借金がゼロにならないのではないかと心配する人もいます。

しかし、免責不許可事由があっても諦めることはありません。
裁判所が諸事情を考慮して免責を判断する「裁量免責」という制度があります同条2項)。

実際、初回の自己破産であれば、反省文の提出、管財人の調査に誠実に協力することで、多くのケースで裁量免責が認められています。

4. 自己破産以外の選択肢も検討しよう


自己破産は借金をゼロにする強力な手段ですが、デメリットもあります。
状況によっては、自己破産以外の債務整理方法の方が費用負担が軽く済む、あるいは生活への影響が少ない場合があります。

4-1. 任意整理のメリット・デメリット


任意整理とは、裁判所を通さずに弁護士が債権者と直接交渉し、将来の利息をカットして3〜5年で分割返済する手続きです。

メリット
裁判所の費用がかからないため、費用が比較的安い。家族にバレにくい。特定の借金だけ整理できる。
デメリット
基本的に元金は減りません。返済を前提とする債務整理方法であるため、安定した収入が必要です。
向いている人
借金総額が比較的少ない人。安定収入があり、破産は避けたい人。

4-3. 債務整理を比較するときのポイント


どの手続きを選ぶべきかは、「借金の総額」「現在の収入」「守りたい財産(家・車)」「費用の支払い能力」のバランスで決まります。

手続き 借金の減額 費用の目安 メリット デメリット
自己破産 全額免除(原則) 30万円前後~ 借金がゼロになる 財産処分、資格制限あり
個人再生 大幅減額(1/5等) 40万円前後~ 家を残せる、借金の理由を問われない 手続きが複雑、費用が高い、毎月安定した収入が必要
任意整理 将来利息のカット 1社2万円前後~5万円程度 裁判所費用不要、支払い回数の延長により毎月の負担が減る、周囲に債務整理がバレにくい 元金は減らない、毎月安定した収入が必要

 


専門家である弁護士や司法書士に相談し、適切な債務整理方法を選ぶと良いでしょう。

5. 自己破産の費用が払えないまま放置するとどうなる?


「費用がないから」と、借金を放置することだけは避けてください。
時間が経てば経つほど、状況は悪化します。

5-1. 裁判所の手続きが取り消しされる可能性


予納金が納付されないと、裁判所に破産申立てを却下される可能性があります。
そうなると、借金はそのまま残り、債権者からの請求が再開してしまいます。

5-2.債権者から法的措置が取られるリスク


返済滞納が続くと、債権者は裁判を起こし、強制執行(差押え)に踏み切ります。

給与が差し押さえられれば、手取り額の4分の1(または生活に必要な一定額を超えた分)が強制的に回収されます。銀行口座が凍結されることもあります。

こうなると、自己破産費用の積立どころか、日々の生活がより厳しいものとなります。
なお、破産手続開始決定があると、債権者から受けていた強制執行は中止されます。

5-3. 信用情報への影響やデメリット


借金を滞納した時点で、信用情報機関(いわゆるブラックリスト)には「延滞」の情報が登録されています。
放置期間が長引けば、事故情報は消えないまま、遅延損害金が加算され、借金総額は膨れ上がります。

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6. 費用が払えないときに避けたいNG行為


費用の準備に焦るあまり、以下のような行動をとってしまうと、取り返しがつかない事態になります。
絶対に避けてください。

6-1. 新たな借入れや闇金の利用の危険性


「破産費用のために他社から借りる」ことは、返済不能の状態を偽って借入れをおこなうことと同じです。
免責不許可事由に当たる可能性がある行為であり、借金の免除を受けられない可能性が高くなります。

銀行や正規の消費者金融が貸してくれない状況で近づいてくる業者は、ほぼ間違いなく闇金やソフト闇金です。
闇金は法外な利息だけでなく、家族や職場への脅迫的な取り立てを受け、破産手続きすら妨害される恐れがあります。絶対に利用してはいけません。

6-2. 財産の隠匿や不正換金は厳禁


「少しでも現金を作りたい」と、クレジットカードのショッピング枠を現金化したり、財産(車や保険の解約返戻金など)を隠して申立てをしたりする行為は、免責不許可事由に当たります。

つまり、自己破産手続で免責決定が得られず、借金は免除されなくなります。
また、自己破産手続きの中でも費用のかかる管財事件となる可能性が高くなります。

6-3. 先送りして借金が膨むリスク


どんなに少額の借金でも、長期間放置していると遅延損害金(年利20%近くになることも)が積み上がり、大幅に負債が増えていきます。
借金問題は、「時間が解決してくれる」ことは絶対にありません。
「払えない」と思ったその時が、相談すべきタイミングです。

7. 弁護士に依頼するメリットと費用負担の軽減方法


「お金がないのに弁護士なんて」と思うかもしれません。
しかし、お金がないからこそ、弁護士の介入が必要です。
専門家に依頼することは、単なる手続きの代行以上の意味を持ちます。

7-1. 取り立てストップ・手続き代行の安心感


弁護士に正式に依頼(委任契約)し、弁護士から債権者に「受任通知」が送られると、貸金業法に基づき、債権者は本人への直接の取り立てができなくなります貸金業法第21条)。

電話や督促状がピタリと止まることで、精神的な平穏を取り戻せます。
この「心の余裕」が、生活再建に向けた準備をするために何よりも重要です。

7-2. 費用を積み立てるときのポイント


受任通知によって返済が一時的にストップします。
この「返済しなくてよくなった期間」を利用して、弁護士費用や裁判所に納める費用を積立します。

例えば、毎月5万円の返済をしていた人なら、その5万円を自己破産費用の積立に回せば、半年程度で費用の準備が整います。
「手持ちのお金がない」状態からでも、時間的な猶予を作ることで費用を捻出できるのが、専門家に依頼するメリットの一つです。

8. まとめ


「費用がない」ことは、恥ずかしいことでも、手続きを諦める理由でもありません。
多くの法律事務所が無料相談を行っており、具体的な解決策や費用積立のための対策をアドバイスしてくれます。

まずは勇気を出して、専門家に「費用について不安がある」と相談してみてください。
それが、借金のない新しい生活への第一歩となります。

古山綜合法律事務所では、借金問題の無料相談をおこなっています。
ご事情やご希望を丁寧にお伺いし、適切な解決策を提案いたします。
借金が減るのか、免除できるのか。
仕事や家族にどのような影響があるのか、ご不安や疑問についてもお答えします。
ぜひお気軽にお問い合わせ、ご相談ください。

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