夫(旦那)の不倫が発覚。妻ができる3つの対応。
不貞慰謝料
目次
1.夫(旦那)の不倫で妻ができる3つのこと
夫の不倫が発覚した場合、妻としてとれる行動は3つです。
① 夫や不倫相手に慰謝料請求する、② 夫と離婚する、③ 夫婦関係を続けることです。
この行動の中で、不倫した夫やその相手に、不倫関係の清算や謝罪を求めることもできます。
ただ、失敗のない対応をとるためには十分な準備と検討が必要です。
妻としてできる対応について徹底解説いたします。
2.慰謝料の請求
慰謝料請求をおこなうためには、不倫・浮気が法律上の「不貞行為」に当たることが必要です。
不貞行為とは、配偶者以外の者との性交渉や性交類似行為を言います。
夫婦には貞操義務があるとされています(民法第770条第1項第2号)。
この不貞行為により、平穏で円満な夫婦関係の破綻を招き、精神的苦痛を負った場合に損害賠償請求をおこなうことができます。
不貞行為による慰謝料を「不貞慰謝料」と言います。
夫が不貞行為を自白し認めている場合、不倫誓約書を取り交わし、慰謝料の支払いを求めます。
相手が不貞行為の事実を認めない場合には、その証拠を集めます。
不倫の証拠は、SNS(LINE/Instagram/Facebook/X(旧Twitter)など)のダイレクトメール、性交渉をうかがわせる画像・動画・音声録音、ラブホテルの領収書、普段夫婦では利用することのない高級ブティックや飲食店などクレジットカードの利用明細、不倫相手の妊娠を伺わせる産婦人科の診療報酬明細書、 GPS・カーナビの利用履歴、スマホの通話履歴、興信所による調査報告書などがあります。
性交渉中の画像のように直接的で強力な証拠となるもの以外は、間接的な内容となるため複数の証拠を組み合わせることで証拠能力を高めることが多いです。
お手持ちの証拠で慰謝料請求が可能か不安な方は、当事務所までご相談ください。
慰謝料請求が可能かどうかを含め、今後の対応について初回無料でアドバイスいたします。
不倫慰謝料としての請求可能な額、誰に対して請求するのかなどについても弁護士が分かりやすくお答えいたします。
なお、不貞慰謝料の相場や請求方法、不貞行為の証拠について、次の関連記事でくわしく説明しています。
参考記事
- 不倫・浮気の慰謝料相場と請求方法
不倫による慰謝料額の相場と、慰謝料の請求方法・手順について解説しています。慰謝料請求の流れについて、内容証明郵便の送付による請求から裁判手続きまでをくわしく解説しています。
参考記事
- 不貞慰謝料請求に有利な不倫・浮気の証拠
不倫・浮気による慰謝料請求を左右する不貞行為の証拠について、どのようなものが証拠に当たるのか、証拠集めの方法について解説しています。
参照リンク
- LINEのトーク履歴は不倫・浮気の証拠になる。
不倫・浮気相手との連絡手段として利用されることの多いラインについて、どのようなやり取りが確認できる場合に不貞慰謝料請求の証拠とすることができるのかについて弁護士が解説しています。
3.夫婦関係をやり直す
不倫・浮気が発覚したからといって、必ず離婚する夫婦ばかりではありません。
夫婦関係(婚姻関係)を継続するケースもあります。
婚姻関係を継続する理由には次のようなものがあります。
参照│不倫夫と夫婦関係継続を選択する理由(例)
- 経済的な理由
・離婚後の生活費に不安 - 子供の問題
・離婚後、親権者として子供の教育費や生活費に不安
・子供への影響(夫に懐いている、生活環境の変化) - 感情の問題
・夫のことが好き - そのほか
・親族、家族関係を壊したくない
不倫をした夫と離婚せずに、婚姻関係を継続する場合、次のような対応をおこなうことがあります。
3-1.不倫誓約書(示談書)を作成する
不倫誓約書(念書)は、① 不倫の事実を認めること(謝罪と反省)、② 不倫関係の清算(接触禁止)、③ 再度不倫した場合の違約金/賠償金支払い(制裁、不倫再発の抑止)、④ 慰謝料の支払い条件(慰謝料額、支払い回数、支払先口座など)の内容を記載し、不倫した夫やその相手に書いてもらいます。
これらの内容を書面で残しておくことで、不倫再発を防止する効果が期待でき、かつ約束を破った際の慰謝料請求や離婚手続きをスムーズに進めるための証拠にすることができるため安心です。
夫との夫婦関係修復のため、まずは不倫相手との関係を清算するところから始めるのもひとつです。
なお、不貞行為にもとづく慰謝料請求は、不倫した夫と不倫相手に請求が可能です。
この慰謝料支払い義務は、不倫をした双方が連帯して責任を負います。
そのため、不倫相手にのみ請求し慰謝料の支払いを受けた場合でも、不倫相手があなたの夫に支払った慰謝料の負担を求めて求償する可能性があります。
よって、不倫相手にのみ慰謝料を請求したい場合には、誓約書に求償権を放棄する旨の条文を盛り込む必要があります。
このように、確かな不倫誓約書(示談書)作成や、相手との交渉や書面取り交わしに自信の無い方は、弁護士に依頼するが良いでしょう。
トラブル再発のリスクを回避でき、交渉や書面作成の負担を軽くすることができます。
なお、次の関連記事では、不倫誓約書の作成について、文例のサンプルを紹介しながら、くわしく解説しています。
3-2.離婚を回避する
不倫を機に、夫婦の一方が離婚を強く望むことがあります。
これは不倫をした夫、不倫をされた妻の双方に発生する可能性があります。
話合いによる離婚の場合には① 離婚の合意、② 離婚届出により、法律的には離婚が成立します。
しかし、離婚の合意がないにも関わらず、配偶者の一方が勝手に離婚届を提出することがあります。
こうした事態を防ぐために、市区町村役場に離婚届不受理申出をしておくことで、離婚届出を受け取らないようにしておくことができます。
離婚届不受理申出は、市区町村で所定の書式が用意されています。
また、家庭裁判所には「夫婦関係調整調停(円満)」と呼ばれる、夫婦関係修復のための手続きが用意されています。
ただ、配偶者の一方において気持ちが冷めていて離婚の意思が強い場合、こうした対処法は効果がなく、実際には離婚に向けた話し合いを進めることが多いと思います。
なお、離婚しない場合でも、不倫相手に対する慰謝料請求は可能です。
離婚しない場合の、慰謝料額の相場は次のとおりです。
参照│離婚しない場合の不貞慰謝料額(相場) | |
---|---|
離婚せず、別居しない場合 |
数十万円~100万円 程度 |
離婚せず、別居する場合 |
100万円~150万円 程度 |
離婚手続きを進める場合の流れについては次のとおりです。
4.離婚手続き
不倫を機に、離婚を決意された場合、① 離婚協議(話し合い)、② 離婚調停、③ 離婚裁判(離婚訴訟)の3つの方法があります。
まずは夫婦間で話し合いをおこない、離婚合意にいたらない場合には家庭裁判所に調停を申し立てます。
裁判所を利用して離婚する場合、法律上まずは離婚調停を申立てることになっています。
調停不成立の場合に初めて離婚裁判を起こすことができます。(調停前置主義)
ただ、離婚裁判を提起するためには、法律で定められた離婚事由(離婚原因)が必要です。
不貞行為は法律で定められた離婚事由であり、離婚請求は可能です。
しかし、不倫をした夫が不貞行為を否定している場合、離婚裁判において不貞行為の事実を証明できる有力な証拠が必要です。
なお、最終目標が「離婚すること」にある場合、不貞行為以外を理由に離婚請求をおこなうのも一つの方法です。
たとえば、DV・モラハラなど婚姻を継続しがたい重大な事由などがある場合には、それを原因として離婚を求めることができます。
5.離婚で妻が気をつけるポイント
離婚する場合、妻が気をつけるべき点について解説します。
5-1.別居時の4つの注意点
離婚前に別居をされる場合に気をつけるポイントは次のとおりです。
① 不倫の証拠を確保する
「不倫をした夫が自宅を出ていく」、あるいは「不倫された妻が自宅を出ていく」ということが考えられると思います。
相手の夫と同居しているからこそできる、離婚準備があります。
その一つが「不倫の証拠集め」です。
不貞の事実を立証できる証拠があると離婚手続きを有利に進めることができます。
不倫した夫のスマートフォンに、肉体関係をうかがわせる不倫相手とのメッセージ、写真・動画や通話履歴。
財布に領収書、ラブホテルの会員権の確認。
自動車のカーナビの履歴など、自宅に居るからこそできる証拠集めがあります。
探偵による浮気調査は別居後でも依頼することができますが、高い費用がかかります。
不倫・浮気を確信しても直ぐに夫を問いつめず、まずは別居に向けた準備と合わせて、ご自分でできる限り不倫の証拠集めをおこなうことをおすすめします。
② 不倫夫が管理する財産を調べる
夫が管理する財産状況を把握しておくと、離婚の際の財産分与、不貞慰謝料請求やその不払い時の差押えなどの場面で有利に進めることができます。
預貯金口座の通帳やカード、証券会社や金融機関からの郵便物や優待商品から投資の有無を把握するなど、自宅で一緒に過ごしているからこそ確認できる財産調査があります。
③ 婚姻費用の請求
別居した際の生活費を、不倫をした夫に請求することは可能です。
不倫した夫が生活費の支払いを拒否した場合には、家庭裁判所の婚姻費用の分担請求調停を申立てることができます。
調停は裁判のような言い争いではなく、円満に解決するための手続きです。
男性よりも女性の方が、収入が低いケースが多くあります。
婚姻費用の支払いをしっかり受けることで、離婚成立までの期間は経済的な基盤を確保することができます。
④ 子供との面会交流、養育費
別居中でも、子供との面会交流や養育費の支払いの問題が生じます。
なお、別居中の養育費については婚姻費用に含まれます。
婚姻費用に含まれる子供の養育費相当額を考える場合には、家庭裁判所の算定表を参考に検討し、取り決めをおこなうことが多いです。
不倫した夫から面会交流の要求には、子供の連れ去り、虐待などのリスクがない限り、基本的に応じるのが良いでしょう。
きたるべき離婚手続きにおいて親権獲得を目指す場合、子供の福祉に配慮した行動をとることで、「離婚後も子供の健やかな養育」が期待できるとして、調停や裁判において親権者の判断や決定にプラスに働くことが期待できます。
また、かたくなな態度で要求を無視し放置していると、不倫した夫から面会交流を求めて調停を申し立てられる可能性もあります。
5-2.離婚条件で決める3つの注意点
離婚時に、しっかり離婚条件を決めておきましょう。
ただ、直接不倫した夫と示談交渉することが難しい場合、弁護士を代理人に立てることをおすすめします。
① あなたの希望を踏まえて主張する(対等以上に話ができる、適切な成果の獲得)、② 離婚協議書など必要書面の作成(法的に有効で具体的な解決)、③ 直接交渉しなくていい(精神的負担の軽減や、DVなどのリスク回避)など、大きなメリットがあります。
後悔の無いように離婚で決めておくべき条件は次のとおりです。
参照 離婚時の離婚条件チェックリスト | |
---|---|
離婚条件 | 内容 |
(お金)財産分与 |
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた共有財産。 原則として、2分の1の割合で分配します。 |
(お金)離婚慰謝料 | 離婚による精神的苦痛に対して支払われますが、不貞行為、DV・ハラスメントなどに対しての慰謝料としての意味を含むものです。 離婚慰謝料は不倫相手には請求できず、不倫をした夫にのみ請求できます(不貞慰謝料として不倫相手に請求することは可能です) |
(お金)年金分割 |
将来年金を受給する際に、年金分割の手続きをしておくことで加算されます。 離婚成立の翌日から2年経つと年金分割を請求する権利が消滅するので、離婚時に話をしておきます。 |
(お金)借金・住宅ローン | あなた自身が家族のために借り入れしている場合には、離婚後の負担について話し合います。 ただ、夫婦間で返済義務をおこなう人を変更しても、債権者には効力を生じません(別途、債権者との間で交渉が必要です)。 |
(お金)婚姻費用 | 離婚時に婚姻費用の未払いがある場合、財産分与の中で支払いを請求することができます。 |
(子供)親権者 | 未成熟子、つまり未成年の子供がいる場合、離婚時に親権者を決めなければなりません。 不倫と親権は法律上別問題であり、不倫をした夫であっても親権者となれる可能性はあります。 |
(子供)面会交流 | 未成熟子との面会条件(実施方法、費用負担、頻度、面会場所、連絡や受け渡し方法など)を決めます。 子供の受け渡しで不倫をした夫と会いたくない場合には、面会交流の実施をサポートするNPO法人など第三者機関の協力を得ることも検討してみましょう。 |
(子供)養育費 |
未成熟子の教育、医療、生活費などを含めた育児に必要な養育費の支払について、具体的に決めておきましょう。 離婚公正証書について、次のコラムでくわしく解説しています。 |
なお、子供の養育に関して、離婚後に利用できる助成金などがあります。
ひとり親世帯が対象の児童育成手当や住宅手当、医療費助成制度などがありますので、お住まいとなる自治体の役所で事前に確認しておくと良いでしょう。
5-3.慰謝料請求の2つの注意点
不倫による慰謝料請求で気をつけるポイントは2つです。
1つ目は、消滅時効の問題です。
不貞行為による慰謝料は、離婚手続きの中で離婚慰謝料として請求します。
また、精神的苦痛に対して不貞慰謝料として請求することもできます。
離婚慰謝料として請求する場合は、離婚から3年。
不貞慰謝料として請求する場合は、不倫を知った時から3年、または不倫関係が終った時(最後の性行為等)から20年で権利が消滅します。
そのため請求権が消滅しないよう時効に注意が必要です。
不倫慰謝料について、次のコラムでくわしく解説しています。
参照リンク
2つめは、高額すぎる過大な慰謝料額を請求しないことです。
一般的に、不貞により離婚する場合の慰謝料の相場は、100万円~300万円程度です。
これは、離婚裁判の中で確立された基準です。
相場の金額に幅があるのは、未成年の子供の有無や人数、不貞の程度(不貞の期間や頻度)、反省の態度を示しているかなど増額・減額の要素があり、個別の事情に応じて異なるためです。
あまりにも過大な慰謝料額の請求にこだわりすぎると、相手が交渉に応じないばかりか、感情的な対立を激しくなり状況を悪化させるだけになります。
懲らしめたい気持ちも理解できますが、まずは冷静になって、しっかりと話し合いを進めていくことが大切です。
不貞慰謝料の相場や請求方法については、次のコラムでくわしく解説しています。
参照リンク
5-4.不倫相手にやってはいけない2つのこと
先ほどの慰謝料の高額すぎる請求以外に、不倫相手にやってはいけないことが2つあります。
1つめは、無理やり不倫の事実を認めさせ土下座などを強要したり、脅迫して法的に問題のある誓約書にサインをさせたりすることです。
2つめは、職場や家族と同居する不倫相手のもとに押し掛けることです。
また、電話やFAXなどを大量におこなうなどの行為も絶対にやめましょう。
これらは、不倫問題の被害者であるはずのあなたの立場を不利にするだけでなく、刑事事件に発展する可能性のある行為です。
5-5.夫の不倫相手からの嫌がらせへの対処法
夫の不倫相手から嫌がらせを受けるケースも見られます。
不倫関係の清算を約束したにも関わらず夫につきまとう、あなたに脅迫や脅しの言動をおこなう、仕事中に職場へ押しかけられるなどの行為には精神的なストレスや不安があると思います。
こうした場合にも弁護士に相談されることをおすすめします。
直接話し合いをすることが難しい相手には、断固たる対応をとることができますし、必要な対抗措置をとることができます。
なお、理由もなく自宅や職場へ押しかけた際には、不倫相手に退去を求め、それでも帰らないような場合には警察に連絡すると良いでしょう。
6.まとめ
夫の不倫発覚でショックを受けている場合や、不倫相手と直接対峙した時の怒りで冷静になれないこともあると思います。
不倫した夫に対して、離婚、慰謝料請求、婚姻関係を継続するといった選択をとることができます。
しかし、当事者同士での問題解決には時間がかかることもあります。
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