クレジットカードのブラックリスト完全ガイド:登録条件・期間・対処法まで


借金問題

執筆者 弁護士 古山 隼也 (こやま しゅんや)


  • 大阪弁護士会所属 登録番号 第47601号

略歴

清風高等学校卒業/大阪市立大学卒業/大阪市役所入庁(平成18年まで勤務)/京都大学法科大学院卒業/古山綜合法律事務所 代表弁護士

講演・メディア出演・著書

朝日放送「キャスト」/弁護士の顔が見える中小企業法律相談ガイド(弁護士協同組合・共著)/滝川中学校 講演「インターネットトラブルにあわないために-トラブル事例を通じて-」


大阪市職員、大阪・京都の法律事務所の勤務経験を活かし、法律サービスの提供を受ける側に立った分かりやすい言葉で説明、丁寧なサポートで、年間100件以上の問題解決をおこなっています。

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クレジットカードのブラックリスト完全ガイド:登録条件・期間・対処法まで


クレジットカードの「ブラックリスト」とは、法律用語ではなく、信用情報機関に登録される「事故情報(異動情報)」を指します。

 

「借金」の返済における滞納や債務整理をおこなうと、信用情報に登録されます。

これを一般的に“ブラックリストに載った”と表現されるのです。

 

「自分はもう二度とカードを持てないのではないか」
「家族にバレるのではないか」
といった不安を感じている方も多いでしょう。

 

しかし、ブラックリストへの登録はずっと続くわけではありません。

正しい知識と対処法を知ることで、経済的な信用は回復できます。

 

本記事では、ブラックリストの法的な仕組みや登録条件・期間、さらにはインターネットを利用した開示請求の手順、ブラック状態でも利用できる可能性がある代わりの決済手段まで、弁護士監修の観点から詳しく解説します。

1.ブラックリストの基礎知識


クレジットカードにおけるブラックリストとは、内閣総理大臣の指定を受けた「指定信用情報機関」に登録される事故情報の総称です。

「ブラックリスト」という名称の物理的な名簿が存在するわけではありません。

1-1.信用情報機関と事故情報の仕組み


金融機関は、カードの申し込みや更新時の審査において、申込者の返済能力を調査することが「割賦販売法(ショッピング枠)」や「貸金業法(キャッシング枠)」で義務付けられています。

これは消費者が支払い能力を超えたクレジット契約を結んでしまうこと、貸し付けをしてしまうことを防ぐためのものです。

主に以下の3つの信用情報機関があります。

機関名 略称 主な加盟会員
株式会社シー・アイ・シー CIC クレジットカード会社、信販会社
株式会社日本信用情報機構 JICC 消費者金融、クレジットカード会社
全国銀行個人信用情報センター KSC 銀行、信用金庫、農協

それぞれの機関は、個人のクレジットカードやローンの利用履歴、返済状況、申し込み情報などを管理しています。


これらの情報は「加盟する会員会社(カード会社等)」に共有されます。
したがって、ある会社で金融事故(長期の滞納など)を起こすと、その事実は他の会社にも知れ渡り、審査に通らなくなる―これが“ブラックリスト入り”の正体です。

例えば、信用情報機関「CIC」の場合、保有するデータベースに、「約定返済日より61日以上または3ヶ月以上の支払遅延」や「債務整理」などの事実が事故情報(異動情報)として一定期間登録されます。

CICに加盟する1社でも事故情報が登録されると、他の加盟会社にクレジットカードの新規申し込みをした際に「返済能力に問題あり」と判断され、審査に落ちる可能性があります。

なお、信用情報機関各社でも相互に情報を共有しています。

1. Credit Information Network(CRINクリン)

CRINは、3つの信用情報機関すべてを結ぶ、最も基本的な情報交流ネットワークです。主に「事故情報(ブラックリスト情報)」を共有するために使われます。

加盟機関: CIC、JICC、KSC(3社すべて)

2. Financial Information Network(FINEファイン)

FINEは、貸金業法に基づき構築された、より強力で具体的な情報ネットワークです。

こちらは単なる事故情報だけでなく、「現在の借入残高」を共有しています。

加盟機関: CIC、JICC

この仕組みにより、例えば「消費者金融」でトラブルを起こすと、全く別の「銀行」や「クレジットカード会社」にもその事実が伝わり、審査に通らなくなります。


そのため、影響はクレジットカードだけでなく、スマートフォンの端末分割払い(割賦契約)や、信販系の保証会社を利用する賃貸契約など、生活の幅広い場面に及びます。

1-2.ブラックリストと社内ブラックの違い


信用情報機関のデータは加盟する全社で共有されますが、特定の金融機関内部だけで保有・管理されるネガティブ情報を俗に「社内ブラック」と呼びます。

社内ブラックは、その会社独自のデータベースであり、他社には共有されません。

例えば、A社で過去にトラブル(過払い金請求や短期間の延滞、クレーマー行為など)を起こした場合、信用情報機関の事故情報が消えた後(いわゆる「喪明け」)であっても、A社の社内データには「取引注意」として半永久的に記録が残る可能性があります。

「信用情報の開示では問題がないのに、特定のカードだけ審査に通らない」という場合は、この社内ブラックが理由であるケースが考えられます。

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2.ブラックリストに載る5つの主な条件


具体的にどのような行為が事故情報として登録されるのか、代表的な5つの条件を解説します。

些細なうっかりミスではなく、契約上の信頼を損なう行為が対象となります。

2-1.長期延滞


例えば、先ほどのCICのように「約定返済日より61日以上または3ヶ月以上」滞納すると、信用情報に『異動』という文字が記録されます。
これが長期延滞によるブラックリスト入りです。

数日の遅れであれば、カード会社からの電話やハガキに応じてすぐに支払えば事故情報にはなりにくいですが、長期間放置すると記録されます。
この場合、遅れている元金だけでなく、遅延損害金や利息を含めた全額を返済(解消)したとしても、そこから5年間は記録が残り続けます。

2-2.債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)


借金の返済が困難になり、弁護士や司法書士に依頼して行う「債務整理」も事故情報の登録対象です。

任意整理 貸金業者と交渉し、将来利息のカット(減額)などを決める手続き。
個人再生 裁判所を通じて借金を大幅に減額する手続き。
自己破産 裁判所に申し立て、借金の返済義務を免除してもらう手続き。

これらの手続きを行うと、「当初の契約通りに返済できなかった」という事実として登録されます。

KSC(銀行系)の場合、自己破産や個人再生では、官報(国が発行する機関紙)にも掲載された破産・民事再生手続開始決定から最長7年間情報が保有されることがあります。

2-3.クレジットカードの強制解約

 

度重なる支払い遅延や、クレジットカードの現金化(ショッピング枠を現金に換える規約違反行為)、虚偽の申告などが発覚すると、カード会社から「強制解約」を通知されることがあります。

強制解約となると、契約者は「期限の利益(分割払いで支払う権利)」を喪失し、残債の一括返済を求められることが一般的です。

この強制解約の事実は信用情報に記載され、他のカード会社の途上与信(契約中の定期チェック)によって、持っている他のカードまで利用停止になる連鎖が起きる可能性があります。

2-4.代位弁済が行われた場合

 

カードローンや住宅ローンなどで、支払いが数ヶ月滞ると、保証会社(利用者の代わりに保証人がわりとなる会社)が金融機関に対して借金を立て替え払いします。

これを「代位弁済(だいいべんさい)」と呼びます。

代位弁済が行われた時点で、「本人が返済不能に陥った」ことが確定するため、信用情報機関に事故情報として登録されます。

以降、債権者は銀行などの金融機関から保証会社(または債権回収会社)へ移り、督促もそちらから来ることになります。

2-5.短期間での複数申込み(申込みブラック)

 

短期間(目安として1ヶ月〜6ヶ月の間)に、クレジットカードやカードローンを3社以上など多重に申し込むと、「お金に困って手当たり次第に申し込んでいる(資金繰りが悪化している)」とみなされ、審査に通りにくくなることを「申し込みブラック」と呼ばれています。

信用情報機関には「申し込みをした事実」も6ヶ月間記録されます。

審査に落ちたからといって次々と他社に申し込むと、自ら審査のハードルを上げてしまうことになるため注意が必要です。

3.ブラックリストに登録されるとどうなる?主な影響

 

実際にブラックリストに登録されると、単に「カードが作れない」だけでなく、住居や通信といった生活に関わる契約にも影響が出る可能性があります。

3-1.ローンやクレジットカードの新規審査への影響

 

最も直接的な影響は、新規の借入や契約ができなくなることです。

クレジットカード 楽天カードなどの流通系を含め、ほぼ全てのカード審査に通りません。
各種ローン 住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなどの審査に通りません。
キャッシング・カードローン 銀行、消費者金融問わず、新規の借入はできません。

金融機関は審査の際、必ず信用情報を照会し、事故情報の有無を重視します。


事故情報がある状態での融資は、貸金業法上の「返済能力の調査義務」の観点からも極めて難しいためです。

3-2.強制解約や利用停止の可能性


問題を起こしていない他社のカードであっても、更新時や途上与信のタイミングで事故情報が発覚し、利用限度額の減額や強制解約(利用停止)となる可能性があります。

カード会社は、契約更新のタイミングや定期的な「途上与信」において、他社の利用状況も含めた信用情報をチェックしています。

3-3.携帯電話本体購入や賃貸契約などへの影響


意外な盲点となるのが以下の契約です。

● スマートフォンの分割購入
 最近のスマホは高額なため分割払いが主流ですが、これは「割賦販売契約」であり信用情報が審査されます。
ブラックリスト期間中は、10万円を超える端末の分割審査に通ることは難しく、現金一括払いで購入する必要があります。
● 賃貸住宅の契約
 家賃保証会社を利用する場合、信販系の保証会社(CIC加盟)や、LICC加盟の保証会社は信用情報を参照します。
事故情報があると入居審査に落ちる可能性があります。ただし、独立系の保証会社であれば通る可能性は残されています。
● 奨学金への影響
 例えば、日本学生支援機構は信用情報機関に加盟しており、自己破産などの債務整理をするとその事実は事故情報として登録されます。

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4.ブラックリストの登録期間はどのくらい?


「一度ブラックになったら一生消えないのか?」という質問が多く寄せられますが、情報の保有期間は定められています。


期間が経過すれば情報は削除され、「スーパーホワイト」と呼ばれる履歴が真っ白な状態に戻ります。

ただし、期間の起算点(いつから数え始めるか)を間違えやすいため注意が必要です。

4-1.延滞情報の場合


長期延滞(異動)の情報は、「延滞が解消された日(完済日)」から5年間保有されます。
重要なのは「延滞し始めた日」から5年ではない点です。

信用情報機関 保有期間(登録期間)
CIC(株式会社シー・アイ・シー) 契約期間中および契約終了後5年間
JICC(日本信用情報機構) 契約継続中および契約終了後5年間
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 契約期間中および契約終了日から5年以内

例えば、延滞状態を1年間放置してから完済した場合、その完済した時点から5年カウントされるため、影響は長引きます。

4-2.債務整理(自己破産・個人再生・任意整理)の場合


債務整理の種類と登録される信用情報機関によって期間が異なります。

任意整理
完済から5年間(CIC/JICC/KSC)
個人再生・自己破産
CIC・JICC: 手続開始決定日などから5年間
KSC: 手続開始決定日から7年間


特に銀行系のローン(住宅ローンなど)を利用したい場合、自己破産後はKSCの情報が消えるまで7年近く待つ必要があります。

4-3.申込みブラックの保持期間


各信用情報機関は、「金融機関が審査のためにあなたの情報を閲覧した」という履歴を記録しており、これが短期間に集中している状態を、「申し込みブラック」と呼んでいることがあります。

信用情報機関 加盟会員
(カード会社等)が見る期間
本人
が開示請求で見れる期間
CIC(株式会社シー・アイ・シー) 6ヶ月間 6ヶ月間
JICC(日本信用情報機構) 6ヶ月間 6ヶ月間
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 6ヶ月間 1年間

5.自分がブラックリストに載っているかを確認する方法


「自分はブラックなのか?」「いつブラック情報が消えるのか?」を正確に知るためには、ご自身の信用情報を開示請求をして確認するのが確実です。

現在はインターネット(スマホやPC)を使って、自宅にいながら簡単に開示請求が可能です。

5-1.CICでの確認方法


郵送で開示も可能ですが、1,500円(コンビニチケット、定額小為替にて支払い)がかかります。
これに対して、インターネット利用開示サービスは郵送請求よりも費用は安く、即時に確認が可能です。


利用環境
スマートフォン(マイナンバーカードが必要)
決済方法
PayPay、楽天ペイ、クレジットカード決済、またはキャリア決済(ドコモ、au、ソフトバンク等の携帯料金合算)
手数料
500円(インターネット開示の場合)
受け取り
開示報告書のダウンロード(即時開示。但し、サービス利用可能時間の制限あり)。

5-2.JICCでの確認方法


JICCも郵送では1,960円(コンビニ払い)の手数料がかかります。
これに対して、インターネット(アプリ経由)の手数料は700円と安く設定されています。

利用環境
スマートフォン(マイナンバーカードが必要)
申し込み方法
専用スマートフォンアプリ「JICCスマホアプリ」(iPhone/Android)
決済方法
クレジットカード、携帯キャリア決済
手数料
700円
受け取り
スマートフォンアプリで受け取り。

5-3.KSCでの確認方法


郵送による開示手数料は、コンビニエンスストアにより1,679円~1,800円と異なります。
これに対して、インターネットの手数料は1,000円と安く設定されています。

利用環境
スマートフォン・PC(マイナンバーカードが必要)
決済方法
PayPay、クレジットカード決済、またはキャリア決済(ドコモ、au、ソフトバンク等の携帯料金合算)
手数料
インターネット開示は1,000円
受け取り
開示報告書のダウンロード。

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6.ブラックでも作れる可能性があるクレジットカード・代替手段


クレジットカードが作れない期間は、以下の代替手段が挙げられます。

6-1.家族カード:本会員の審査のみで発行


配偶者や親がクレジットカードを持っている場合、「家族カード」の発行を依頼する方法があります

家族カードの審査対象は「本会員(親カードの持ち主)」の信用情報であり、家族会員(あなた)の信用情報は原則として調査されません。
そのため、あなたがブラックリスト状態でも発行できる可能性が極めて高いです。
※利用明細は本会員に届くため、購入内容は知られます。

6-2.デビットカード:銀行口座直結の安心設計


銀行口座にある預金残高の範囲内で即時決済(引き落とし)されるカードです。


VisaやJCBなどの国際ブランドが付帯しているものもあり、使い勝手はクレジットカードとほとんど変わりません。

「借金」ではないため、発行時の与信審査がなく、銀行口座さえあればほぼ確実に作ることができます。

6-3.プリペイドカード:チャージ式の利用スタイル


事前にお金をチャージして使うカードです。
「Kyash」や「Vプリカ」、携帯キャリアが発行するプリペイドカード(dカード プリペイドなど)があります。

これらも審査不要で無料で発行できるものが多く、アプリ上でバーチャルカードを発行してすぐにネット決済に使える種類もあります。
前払い方式のため使いすぎ防止にも役立ちます。

6-4.デポジット型クレジットカード:保証金が限度額になる


事前に保証金(デポジット)を預けることで、その範囲内での利用を認めるカード(Nexus Cardなど)。
保証金があるため貸し倒れリスクが低く、審査が柔軟です。

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7.クレジットカードのブラックリストに関するよくある質問

7-1.Q クレジットカードの審査に落ちた理由は分かる?


分かりません。
通常、審査に落ちた理由は開示されません。


利用時の延滞履歴や事故情報が原因なのか、あるいは現在の収入や職業が基準に満たなかったのか、具体的な審査落ちの理由は明らかにされません。


もしも、債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)や延滞などに心当たりがない場合は、ご自身で信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に「信用情報開示請求」を行い、内容を確認されると良いでしょう。

7-2.Q 弁護士に依頼すれば事故情報を削除できますか?


債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)や延滞による事故情報は、弁護士に依頼しても削除することはできません。

 

そのため、法的手段で交渉を行う手立てがないため、弁護士に相談をしても断られるのが通常です。

7-3.Q 自己破産後に事故情報が消えたら、クレジットカードは作れる?


必ず作成できるとは言えません。


信用情報機関の事故情報は解消できても、社内ブラックリストやカード会社の内部審査基準は非公開かつ独自のものがあるため、必ずしも審査を通過するとは言い切れません。

8.まとめ


ブラックリスト(事故情報)は、金融機関がリスクを回避するための仕組みですが、同時に消費者が過剰な借金を重ねて破綻するのを防ぐセーフティネットの意味合いもあります。

  • ブラックリストとは、信用情報機関に登録される「延滞」や「債務整理」の記録のこと。
  • 登録期間は、延滞解消や手続きから5年〜7年
  • 確認するには、CICなどの開示請求(スマホで500円〜)が便利
  • ブラック期間中は、デビットカードや家族カードなどの代替手段を活用する。
  • 一刻も早く信用を回復させるには、延滞の解消または専門家による債務整理の検討が必要。


現在、借金で自転車操業や、返済不能の状況で今後も延滞が続くような場合には、債務整理が必要です。
弁護士や司法書士などの専門家の無料相談を利用して、生活を立て直すことを強くおすすめします。

古山綜合法律事務所では、借金問題について無料相談(初回・来所)を実施しています。
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