「自己破産と携帯契約」の基礎知識を徹底解説。スマホは使い続けられる?
借金問題
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「自己破産と携帯契約」の基礎知識を徹底解説。スマホは使い続けられる?
自己破産を検討する中で、多くの方が最も懸念されることの一つが「携帯電話(スマートフォン)の利用できるかどうか」です。
「借金をゼロにする代わりに、生活必需品であるスマホも没収されるのではないか」「仕事や家族との連絡手段が断たれてしまうのではないか」という不安は、精神的に大きな負担です。
自己破産をしても、無条件ですべての携帯電話が解約されるわけではありません。
携帯が使えなくなるかどうかは、「通信料の滞納状況」や「端末代金の分割払い残高」など、によって決まります。
本記事では、携帯を残せる条件や、万が一分割購入ができない場合の具体的な対処法(格安SIMやプリペイドの活用など)をまとめて解説します。
1. 自己破産による携帯契約への影響とは
携帯電話契約に対する自己破産の影響を理解するには、携帯契約が「通信サービス契約(回線)」と「端末購入契約(クレジット)」の2つの側面を持っていることを知る必要があります。
影響は、現在の支払い状況によって大きく異なります。特に重要となるのが、「利用料金(通信料)」と「端末代金(本体代)」に滞納があるかどうかです。
1-1. 自己破産をしても携帯が使えるケースの概要
以下のようなケースでは、自己破産後も現在使用中の携帯電話をそのまま使い続けられます。
- ✅ 利用料金・端末代金ともに滞納がない場合
- ✅ 端末代金の完済しており、月々の通信料のみを支払っている場合
自己破産をしても、携帯電話会社(キャリア)に対して未払い金(債務)がなければ、強制解約される理由はありません。
基本的には契約継続が可能です。
ただし、自己破産申し立て後は、クレジットカードでの支払いができなくなるため、速やかに「口座振替」等の支払いに変更する必要があります。
1-2. 携帯が解約となってしまうケースの概要
一方で、以下のような状況では、携帯電話が強制解約となるリスクが高くなります。
- ✅ 月々の利用料金(通信料)を滞納している場合
- ✅ 端末代金の分割払いが残っている場合
自己破産手続きでは、携帯電話の滞納料金や分割払い残金も「借金(債務)」として扱われ、自己破産の免責(支払い免除)対象となります。
結果として、携帯電話会社は債権回収ができなくなるため、契約約款に基づき強制解約の手続きをとることが一般的です。
また、これに伴い、不払い者情報リスト(いわゆる携帯ブラックリスト)に登録され、他社での新規契約も難しくなる可能性があります。
2. 料金滞納・分割払い状況別にみる携帯電話の利用継続の可否
自己破産時の携帯契約の行方は、「通信料金」と「端末代金」のどちらに、どのような債務が残っているかで判断が分かれます。
ご自身の状況を正確に把握し、弁護士と相談して対策を行うことが重要です。
2-1. 利用料金を滞納している場合
毎月の通信料(通話料・パケット代など)を滞納している状態で自己破産を申し立てると、その滞納分は「破産債権」として扱われます。
携帯電話会社としては料金回収の見込みがなくなるため、契約解除に踏み切る可能性が極めて高くなります。
また、契約解除後は一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)や一般社団法人テレコムサービス協会(TELESA)が管理する不払い者情報の共有データベースに登録されることがあります。
これにより、他社であっても新規契約が困難になる場合があります。
2-2. 端末代金の分割払いが残っている場合
iPhoneなどの高価なスマートフォンを分割払いで購入した場合、その契約は実質的に「ローン契約(割賦販売契約)」です。
分割払いの残債がある状態で自己破産をすると、残債は免責の対象となります。
携帯電話会社は端末代金を完済するまで、「所有権留保」と呼ばれる担保権に基づいて、端末の返還を求める権利があります。
そのため、スマートフォンなどの返還を求められる可能性があります。
また、自己破産という事実は信用情報機関(CICなど)に事故情報として登録されます。
そのため自己破産後に新しく端末を購入する場合、分割払いの利用は難しくなります。
現金一括払いや、価格の低い中古端末を購入するなどの方法が考えられます。
2-3. キャリア決済を利用している場合の注意点
「d払い」や「auかんたん決済」、「ソフトバンクまとめて支払い」などのキャリア決済を利用している場合も注意が必要です。
キャリア決済の未払い分は、法的には「借金」と同じ扱いになります。
もし高額なキャリア決済の未払いがある状態で自己破産を申し立てると、その未払い分も含めて免責対象の破産債権となります。
今、返済不能の状態であれば、すぐにキャリア決済の利用を停止してください。
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3. 自己破産前に絶対にやってはいけない行動
「携帯が止まると困るから」といって、債務不能の状態で端末の分割代金などを支払うことは非常に危険です。
3-1. 滞納分の一括払いで任意弁済とみなされるリスク
自己破産を弁護士に依頼する直前や、支払い不能になった後に、携帯電話の滞納料金だけを優先して支払うことは避けてください。
破産法では、すべての債権者を平等に扱うことが原則です(債権者平等の原則)。
特定の債権者だけに返済する行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい、破産法第252条)」とみなされ、免責不許可事由に該当する恐れがあります。
最悪の場合、自己破産の手続きにおいて免責(借金の帳消し)が許可されないことがあります。
なお、携帯電話の利用停止を恐れて、特定の債権者を破産手続きの対象から外すことはできません。
対象からわざと外して債権者名簿に掲載しない行為も免責不許可事由に当たります。
3-2. 家族名義への切り替えや機種変更などの回避方法
自己破産による影響を逃れるために、契約名義を慌てて家族に変更したり、自己破産直前に高額な最新機種へ機種変更して端末を手元に残そうとしたりする行為もNGです。
これらの行為は、財産隠しや詐欺的な借入れ(当初から支払う意思がないのに契約した)と疑われる可能性があります。
悪質と判断されれば、免責不許可事由に該当するだけでなく、詐欺罪などの刑事責任を問われるリスクさえあります。
「バレないだろう」という安易な行動は、人生の再出発を大きく妨げます。
4. 自己破産手続き中に考慮すべき携帯料金の支払方法
端末の未払いなく、使用料の未払いもない場合、自己破産をする場合でも継続して利用が可能です。
ただ、自己破産の手続きが始まると、これまで通りの支払い方法が利用できなくなることがあります。
通信ライフラインを維持するために、適切な支払い方法への切り替え準備が必要です。
4-1. クレジットカード決済から口座振替へ変更する必要性
現在、携帯料金をクレジットカード払いにしている方は、速やかに「口座振替」または「コンビニ払い(請求書払い)」へ変更します。
自己破産の受任通知がカード会社に届くと、クレジットカードは強制解約となり利用停止されます。
カード払いの設定のままにしておくと、携帯料金の引き落としができず、結果として「未払い(滞納)」が発生してしまいます。
この新たな滞納が原因で携帯が止まってしまうことを防ぐため、手続きを依頼したらすぐに変更手続きを行いましょう。
4-2. ペイアプリ・キャリア決済の使いすぎに要注意
自己破産準備中や手続き中に、PayPayなどのペイアプリやキャリア決済を使って買い物をしたり、現金化(購入した物品を金券ショップなどに売却し現金を得ること)を行ったりすることは厳禁です。
返済不能の状態にあるにも関わらず新たな借り入れをすることは、裁判所から「浪費」や「反省の色がない」と判断され、免責許可決定を得られないリスクがあります。
自己破産後の生活再建を見すえて、支払いは「現金」または「デビットカード(銀行口座から即時引き落とし)」の範囲内で管理する習慣を身につけることが大切です。
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5. 自己破産後に携帯電話の新規契約は可能か
「一度自己破産すると、二度と携帯を持てないのではないか」と心配される方もいますが、そのようなことはありません。
ただし、契約の方法や審査の基準には一定のハードルがあります。
5-1. 信用情報機関への登録期間の目安
自己破産をすると、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に事故情報(いわゆるブラックリスト)が登録されます。
登録期間は機関によって異なりますが、概ね5年~7年です。
この期間中は、携帯電話の「端末分割払い(割賦契約)」の審査には通らないと考えてください。
分割払いはローン契約の一種であり、信用情報を必ず参照するためです。
信用情報機関(ブラックリスト)の登録期間
| 信用情報機関 | 概要 | 登録期間 |
|---|---|---|
| 株式会社シー・アイ・シー (CIC) |
主に信販会社(クレジットカード会社)や消費者金融が加盟。 | 免責許可決定の確定日から5年間。 |
| 株式会社日本信用情報機構 (JICC) |
主に消費者金融や一部の信販会社が加盟。 | 免責許可決定の確定日から5年間。 |
| 全国銀行個人信用情報センター (KSC) |
主に銀行や信用金庫、信用組合などが加盟。 | 破産手続開始決定の日から7年間 (2022年10月まで10年でしたが短縮されました)。 |
ただ、信用情報機関への登録に関係なく、信販会社・カード会社で独自のリスト(社内ブラック)に登録されている可能性があります。
したがって、信用情報から削除された後も、当該会社との契約は難しいことがあります。
この場合、端末の購入、回線の利用については次の対処法が考えられます。
6. 携帯電話の分割購入ができない場合の対処法
自己破産後5~7年間は、最新のiPhoneなどを分割払いで購入することは難しくなります。
しかし、分割購入が難しくても、スマートフォンを持つ手段は他にもいくつか存在します。
6-1. 預託金制度や家族契約での乗り換え
一部の携帯会社では、契約時に「預託金(保証金)」を預けることで、信用力が低い状態でも契約を認める制度を設けている場合があります。
6-2. SIMフリー端末やプリペイド携帯の活用
「安価なSIMフリー端末を一括購入」または「中古端末の購入」による利用も選択肢の一つです。
数万円程度の機種であれば、一括払いでも負担は少なく、クレジット審査も不要です。
手元に端末さえあれば、回線契約のみ(SIMカードのみ)の申し込みで済むため、審査のハードルは大きく低下します。
ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手携帯キャリアで強制解約になった経験がある場合、その系列ではない他社や、審査基準の異なる格安SIM(MVNO)への申し込みを検討するのが現実的です。
これらは、大手キャリアと契約せずに通信環境を確保できる現実的な選択肢となります。
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7. 任意整理や個人再生との比較:携帯電話に及ぼす影響の違い
債務整理には自己破産以外にも「任意整理」や「個人再生」という方法があります。
これらの手続きでは、携帯電話の契約にどのような影響があるか違いを解説します。
7-1. 各手続きにおける信用情報への登録と通信契約への影響
自己破産以外の債務整理の方法は、任意整理と個人再生手続きがあります。
裁判所を通さず、債権者と将来利息のカットや返済回数を伸ばすことで毎月の返済額を減らすための交渉をする手続きです。
最大のメリットは「整理する借金を選べる」点です。
携帯電話の契約(端末代金や通信料)を整理の対象から外し、これまで通り支払い続ければ、携帯を使い続けることが可能です。
ただし、信用情報には事故情報が載るため、新規の分割購入は難しくなります。
借金を大幅に減額する手続きですが、原則としてすべての債権者を対象にする必要があります。
そのため、携帯料金に滞納がある場合や端末残債がある場合は、自己破産と同様に解約のリスクが生じます。
7-2. 最適な債務整理手段を選ぶためのポイント
「絶対に今のスマホを手放したくない」という希望が強い場合、収入があり返済継続が可能であれば「任意整理」が有効な選択肢となります。
一方で、借金の総額が大きく、返済の目処が立たない場合は、携帯電話の一時的な不便を受け入れてでも「自己破産」で生活の基盤を立て直すことが優先されるべきでしょう。
どの手続きがベストかは、借金の総額、資産状況、そして「何を守りたいか」によって異なります。
インターネットの情報だけで判断せず、法律事務所の無料相談などを活用して、専門家の意見を聞くことを強くおすすめします。
8. まとめ:自己破産後も安心して携帯を利用するために
自己破産をすると携帯電話がどうなるか、その仕組みと対策について解説しました。
- 滞納がなければ、基本的に継続利用が可能(口座振替への変更は必須)。
- 端末代の分割残債や通信料滞納がある場合は、解約のリスクが高い。
- 解約回避のための直前の一括払いや名義変更は「偏頗弁済」等のリスクがあるためNG。
- 自己破産後も、一括購入や格安SIMを使えばスマホを持つことは十分可能。
「携帯がなくなるのが怖い」という理由で借金問題の解決を先延ばしにすると、かえって事態を悪化させ、最終的には給与差し押さえなどで携帯代すら払えなくなる恐れがあります。
弁護士は、あなたの生活再建を第一に考え、携帯電話を含めたライフラインを可能な限り維持できるようアドバイスをしてくれます。
一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
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